コラム

2022.5.13  世の中に溢れ出る「ホワイト企業」 本当にホワイト企業なのか?

ホワイト企業という言葉は、「ブラック企業」の存在が世の中で大騒ぎになった10年ほど前から使われ始めたものであり、それほど歴史があるものではありません。

そのような歴史の中で、今や民間団体の認定あるいは自社の判断により、ホワイト企業を名乗る企業・団体が世の中に溢れ出ている状況にあります。もし世の中の企業・団体の全てがホワイト企業であれば、誰もが不安なく就職ができ、また就労を継続できることになります。その意味で、企業経営者が建前ではなく本音でホワイト企業を目指してそれを実現し、ホワイト企業であると名乗るのであれば、それは素晴らしいことです。

ただ、現実には、ホワイト企業を名乗る企業で労働事件が発生したり、ブラック的経営情報が漏洩することなどにより、「本当にホワイト企業なの?」「誰がどんな基準で判断しているの?」という疑問が出ているのです。そのような流れの中で、ホワイト企業という言葉自体への信頼感が失われてきています。

ホワイト企業という言葉は、ブラック企業と対極にある「労働法制等を遵守している企業・団体」を総称するものでした。しかし、いつのまにか労働法制等の遵守はホワイト企業の判断要素の一つに過ぎず、それ以外の各種要素も重要だという考えが提案・運用されたのです。それにより自称あるいは他称のホワイト企業が世に溢れ出したのです。サービス残業をさせる企業が「ワーク・ライフバランス」を宣言しても、また、退職強要を繰り返す企業が「働きがい」や「離職率」をいくら強調しても説得力がないのは当然のことですが、それでもホワイト企業と名乗れているのは摩訶不思議なことです。

弁護団代表 大川原 栄

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